公務員・大企業勤務の離婚

公務員や大企業に勤務する方との離婚の場合、以下の特色があります。

  1. 高額な退職金が想定される
  2. 婚姻費用・養育費額の予想がしやすい
  3. 年金分割の請求ができる

1.高額な退職金が想定されます

公務員・大企業勤務の方の離婚の場合、定年まで安定した勤務が想定されるため、比較的高額な退職金が財産分与対象として組み込まれます。また、若年で定年退職まで相当な年月がある場合でも、自主退職しない限りは定年までの勤務が想定されることから、退職金相当額を財産分与に組み込むことが多くなります。
公務員や大企業に勤務する方を相手とする離婚の場合には、退職金を財産分与対象として請求することをまずは検討されるとよいでしょう。逆に、ご自身が公務員や大企業勤務の場合には、退職金相当額をどうするかについて弁護士に相談されるとよいでしょう。

2.婚姻費用・養育費額の予想がしやすい

結婚期間中は、同居又は別居いずれの場合でも、婚姻費用(配偶者と子の生活費相当額)の請求が可能です。また、離婚後も未成熟子(原則20歳以下)がいる場合、養育費を請求することが可能です。
婚姻費用・養育費の額は、ご自身と配偶者の年収をベースに計算することが多いため、安定的な収入を得ている公務員・大企業勤務の場合は、その額を算定することが比較的容易ですので、別居後の生活費等将来的な生活設計がしやすいと言えます。
但し、公務員・大企業勤務の場合であっても、法令又は規則の改正により前年収入と大きく変わる場合がありますので、その場合は変更点を書面上明確に立証する必要があります(見込み額では裁判所は認めないことが多いです)。

3.年金分割の請求ができる

公務員・大企業勤務の離婚の場合、離婚時の年金分割(合意分割)が可能です(3号分割もありますが、合意分割をすれば3号分割分も含まれますので、当事務所では全て合意分割で行っています)。
具体的な手続きは以下の通りです。

①年金分割のための情報通知書を取得する

所定の「年金分割のための情報提供請求書」を作成し、以下の各機関に申請して「年金分割のための情報通知書」を取得します。

  • 国家公務員の場合:各省庁の国家公務員共済組合
  • 地方公務員の場合:各地方公務員共済組合
  • 民間会社員の場合:全国の最寄り年金事務所

50歳以上で老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合は、予定受領年金額の計算書がもらえます。

配偶者の一方のみから請求した場合、離婚前であれば、請求者のみに交付されます(離婚後の請求は双方に配布)。

(参考)

②公正証書、調停調書、審判書又は判決書の作成

上記情報通知書を基に、分割割合等を合意します(公正証書の場合)。合意が成立しない場合又は調停・審判・訴訟の場合は、裁判所作成の書面によります。

実務では、ほぼ全件、50%の割合での書面となります(当事務所が扱った案件で、過去に1回だけ50%ではなく4:6となったことがありますが非常にレアケースです)。

③年金事務所への提出

原則として離婚した翌日から2年以内に、最寄りの年金事務所へ②の書面を提出します(提出が完了しないと年金分割手続きができませんのでご注意ください)。

(参考)

この記事を書いた人 弁護士 大澤美穂子

2005 年 10 月弁護士登録(第二東京弁護士会所属)
クラース東京法律事務所代表弁護士
企業法務、一般民事、離婚などの家事事件、高齢者問題(成年後見、遺言、相続)など広く取り扱い、クライアントのニーズに合った最適な解決方法を目指している。

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