経営者の離婚相談
離婚を考えている経営者の方からよくあるご相談
- 離婚をすると株式を分与しなくてはいけないのか
- 共同経営者である配偶者とどうしたらうまく離婚できるか
- 自分が持っている株式を財産分与せよ迫られている
- 個人資産と会社資産は別と考えて良いか
- 配偶者(又は親族)が所有する不動産を会社が賃借している
- 離婚後も安定して自分が会社を経営できるようにしたい
- 別居中の配偶者への婚姻費用をどのように支払ったらよいか
- 配偶者には分与したくないが子に会社を継がせたい
経営者の場合、特に配偶者も経営に携わっている場合や、会社株式を持っている場合は要注意です。やり方を間違えると会社の経営権自体を失い取り返しのつかない状態に陥りかねません。離婚を考える場合には、よくよく慎重に準備をすることを強くお勧めします。
経営者の離婚特有の問題とは
1.配偶者が事業に関与している場合
配偶者が事業に関与している場合、離婚をする前から十分な注意が必要です。
例えば、配偶者が現場を取り仕切っていたり、従業員に影響を有する立場である場合、夫婦仲が悪くなると他の従業員に吹聴して職場環境を悪化させ、または他の従業員を自身の味方につけて労務問題を発生させるなどのリスクがあります。配偶者がその事業に欠かせない技術者であったりすると、離婚により事業の遂行に重大な影響が生じます。
また、配偶者が役員に入っている場合は、役員会の運営に支障が生じ、役員会の議決ができないなどのリスクが発生します。
その他、配偶者や配偶者の親族の個人資産を会社が賃借(又は無償で借りている)し、または金融機関からの借入金の担保に入れている場合は、離婚によりその関係性を終了せざるを得なくなりうることも大きなリスクです。
2.配偶者が会社株式を有する場合
配偶者が会社の株式を保有している場合、さらに問題は複雑となります。
例えば、自身が50%、配偶者が50%の株式を有していた場合、決算決議すらできなくなりデッドロックに陥ります。すなわち、株主総会の普通決議は、株主の議決権の「過半数」(会社法309条1項)が必要であるところ、ご自身が有する50%の株式では過半数が取れません。したがって、配偶者の賛成がない限り、会社の通常経営自体もできないことになります。
また、株式の3分の1以上を配偶者(又はその親族)が保有している場合は、ご自身だけでは3分の2以上の特別決議は取れませんので、定款変更などはできません。そこまで行かなくとも、一定の株式を有していれば少数株主権を行使されることで会社経営に事実上様々な支障が生ずることになります。
したがって、できれば離婚により会社の株式は配偶者から譲り受けるようにしたいところですし、もしそれができない場合には、会社経営に重大な支障がでないようなスキームを検討することが必要です。
経営者が離婚を考える際に考えるべきポイント
経営者が離婚を考える場合、一番の関心事は離婚後も会社を円滑に経営できるかどうかだと思います。まずは以下のポイントをチェックしてみてください。いずれか1つでも満たしている場合は要注意です。
- 配偶者又は配偶者の親族が会社の株主か、またその割合が合計で3分の1以上か
- 配偶者又は配偶者の親族が会社の役員に入っているか
- 事務所や工場に使用している不動産のうち、配偶者又は配偶者の親族が所有しているものがあるか
- 3の不動産で会社その他借入金の担保に入っているか
- 配偶者の存在が当該事業に必要か(配偶者がいなくても事業は回るか。難しい場合は支店設置、分業なども検討できるか)
- 許認可事業か(当該資格者が配偶者のみか)
後継者候補(子ども)がいる場合
後継者候補(子ども)がいる場合で、配偶者に株式等を財産分与を避けたい場合には離婚の問題だけではなく、株式譲渡(事業承継)、遺言、民事信託などを検討すべき場合があります。単純に離婚すれば終わり、というわけにはいきませんので、将来を見据えたご相談をされることをお勧めします。
当事務所のメリット
経営者の離婚問題は、夫婦間の離婚問題のみならず会社経営に大きな影響を及ぼします。安定した経営権の確保や労務問題、将来的には事業承継(株式の譲渡、遺言、民事信託)などの問題が発生します。
当事務所では、このような問題にも広く対応が可能であり、登記・税務・社会保険関係も提携する司法書士・税理士・社会労務士その他専門職とともにワンストップサービスを提供しております。また、顧問先は中小企業様がメインであり、顧問先の案件は全て代表弁護士が担当しますので安心です。
離婚その他問題で「困った」のある経営者の方は是非一度ご相談ください。